2012年12月15日土曜日

「強い者は生き残れない」地球生物史40億年の教訓と原発という存在



強い者は生き残れない――。

このメッセージをぼくたちは肝に銘じるべきである。

これは進化理論研究者である吉村仁の著書(『強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論』新潮選書、2009)のタイトルだ。

この題名どおり、地球に生物が誕生してから40億年のあいだ生き残ってきたのは「強い者」ではなかった。ぼくたちは強い者が生き残る、「弱肉強食」という神話を刷り込まれてきた。だがこれは真っ赤なウソだった。

生き残ったのは、変動する環境に「協力行動戦略」をとった生物であり、それはけっして「強い者」ではなかった。

吉村はこの本をつぎのことばで締めくくっている(ミステリー小説ではないので、「ネタバレ」はゆるされるだろう)。

「強い者」は最後まで生き残れない。最後まで生き残ることができるのは、他人と共生・協力できる「共生する者」であることは「進化史」が私たちに教えてくれていることなのである。

なぜ、「強い者」が生き残れなかったのか、それはぜひ本書をお読みいただきたい。

さて、原発である。そしてあすに控えた総選挙である。

マスメディアの調査によれば自民党圧勝だという。その自民党の選挙公約を見ると「国土強靭化推進」「国防軍を保持」「強靭な日本の創生」というやたら「強さ」を強調した文字が躍る。

そして安倍晋三・自民党総裁は、原発について、再稼働どころか、新造すら認めると述べている。また、石破茂・自民党幹事長は「核の潜在的抑止力を維持するために、原発をやめるべきとは思いません」と公言している。

すでにあきらかなように、原発は地球を壊滅させるエネルギー・プラントであるばかりか、経済性においても水力・火力などの既存のプラントや再生可能エネルギーよりも劣る。

ではなぜ、こんな原発を、無理を承知で推進するのか。

それは核兵器という「強靭な武器」を保持するためだ。そう原発の使用済み核燃料から原爆材料となるプルトニウムができるからである。

どうやら自民党は、核武装によって「強い日本を取り戻したい」ようだ。もちろん、石原慎太郎・日本維新の会代表も同意見だろう。

でも、核エネルギーによって「強い者」を目ざす者は、きっと生き残れないだろう。それは40億年の地球生物の営みが、そう現代進化論が教えている。

このまま原発を稼働すると、われわれはそう遠くない将来、まずまちがいなく滅びるだろう。日本人として、そしてホモ・サピエンスという「類」として。

それは「強い者」に下されるオキテなのである。



2012年12月13日木曜日

原発保有は北朝鮮への利敵行為、国防はまず廃炉から

きのうからマスメディアは、北朝鮮(そういえば以前は「北朝鮮」と「朝鮮民主主義人民共和国」と並べて表記していたけど、いつのまにか「北朝鮮」だけになっている)の「ミサイル発射」でもちきりだ。

最初にことわっておくが、これから述べることは、けっして北朝鮮を擁護するものではない。今回の「発射」も、断じて糾弾されるものだ。

そのうえで、なぜいつも北朝鮮が打ち上げる「ロケット」や「人工衛星」を各国は非難するのだろうか、と問いたい。

しかも、その非難する国のほとんどが、すでに「ロケット」や「人工衛星」の打ち上げに成功している。なぜ、北朝鮮だけが非難されなければならないのか?

たとえば日本は1970年に自国の技術で打ち上げ、以来何本もの人工衛星を飛ばしている。なのに、なぜ日本は非難されず、北朝鮮は非難され、おまけに国際的な制裁まで受けるのか? 

もしかしたら、北朝鮮の人工衛星は名目で、本当の目的は軍事兵器であり、日本の人工衛星は軍事目的ではない、という小児的理由からか。そう、これはまったくの子供だましである。

航空宇宙技術というのは、すぐれて軍事技術なのだ。ほら、朝日新聞も「人工衛星を宇宙に運ぶロケットと、弾頭(爆弾)を積む弾道ミサイルは、構造はほぼ共通している」(12月13日)と書いているよ。

小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星「いとかわ」表面のサンプルを地球に持ち帰り、日本では明るいニュースとして大きく盛り上がったが、このサンプルを載せたカプセルを保護する技術というのは、実は弾道ミサイルにとって欠くことのできない最重要技術なのだ。

弾道ミサイルは大気圏に突破し再突入するが、このときカプセルで弾頭を保護する必要がある。カプセルは秒速12㎞の超高速で大気圏に突っ込むので、カプセルがぶつかるときの大気は1~2万度という高温で、カプセルの表面は3千度にもなる。

こんな過酷な条件に耐えるカプセルの技術を日本は独自に開発したのだ。この技術が世界的に優秀であることで、はやぶさのカプセルが一般公開され、その初日には来場者1万3千人、3時間待ちの行列が起きた。

そして、このはやぶさのカプセル技術によって、日本は弾道ミサイルを打てる重要技術を確保したということになる。

またアメリカやロシアは、北朝鮮はもちろん、日本の技術をはるかに上回るミサイル技術を有している。

でも、人工衛星を打ち上げた日本やアメリカ、ロシア、フランス、中国、イギリス、イスラエルは、北朝鮮(あるいはインド、イラン)のように国際的に非難されないのは、なぜか。

自分たちがすでに持っている軍事技術を他国が開発したことに、なぜこれらの国は非難できるのか。

自分たちがそれらを保有していないとか、あるいはそれを放棄したうえでの非難ならわかる。

でも、自分が強力な武器を所持していて、いままで持たなかった相手が持つと、それは国連決議違反であると非難するのは、いったいどういうロジックに基づいてのことなのか。

再度ことわっておくが、北朝鮮がミサイル技術を持つことを擁護しているのではない。一刻も早く、北朝鮮のみならず全世界が軍事力を放棄することを願うばかりだ。

世界中の軍事にかかる天文学的な巨費を福祉に転用すれば、世界の飢餓と貧困はたちどころに解消し、犯罪も大きく減少するだろう。

全世界の軍事費の総額は約130兆円(2011年)、その10分の1にも満たない金額で、世界8億人の飢餓を解消する食糧費となる。

いいかい、毎年100兆円を超える金が、人間を殺戮するための費用となっているんだよ。単に国籍が異なるだけで人が殺し合うとは、なんて愚かなんだろう。ちょっと冷静に考えれば、誰だってこんなことわかるよね。

さて、北朝鮮が「人工衛星」もしくは「ミサイル」の軌道投入を成功させたのだが、この国の航空宇宙・軍事技術はそれなりの技術力を有していることはまちがいあるまい。

北朝鮮が日本攻撃用に準備しているとされるのは、「ノドン」とよばれる射程距離1300㎞のミサイルだ。これが米軍からとされる情報では200基保有(2006年現在)しているという。

もし北朝鮮がノドンを日本に打ち込むとすれば、とうぜん軍事上もっとも戦果の大きいところをターゲットにするはずだ。それは日米の軍事施設であり、日本の政治経済の中枢部であり、そしてそう原子力発電所などの核施設である。

たとえば福島第一原発4号機燃料プールに北朝鮮のミサイルが命中すると、1535本(実は東電発表よりもっと多いという情報もある)の燃料棒が爆発することになるわけで、そうなるとその放射能は広島型原爆の5000発分に匹敵し、どう少なめに推量しても日本列島は高濃度に被曝するだろう。

それは六ヶ所再処理工場でもしかりで、ここに命中すると北半球が全滅する可能性だってある。

もちろん、福井の若狭湾沿岸に群有する原発の1基に命中すれば、少なくとも北陸・中部・近畿地方は全滅だろう。琵琶湖の水もとうぜん放射能汚染され飲料などできない。

北は北海道の泊原発から、南は鹿児島の川内原発まで、日本中にくまなく設置した悪魔の電力プラント「ゲンパツ」が、「ゲンバク」以上の威力を発揮して、壊滅的打撃を被る。

その攻撃を防ぐために、迎撃ミサイルを準備している、といいたい向きもあるだろう。

でも、この命中率がはっきりしていない。命中率は数%から80%まであって、100%説は見当たらない。正直、自衛隊も、実戦で試してみないことには、どれだけ命中するのかわからないってところだろう。

だから、こんなものに全面的に頼ることなんかできないのだ。そう、原発を設置することは、ミサイルを有する国から格好のターゲットになる。

つまり、日本に原発があることは、北朝鮮への利敵行為となるのだ。

国防をさけぶ者こそ、まっさきにこの国から原発や核施設を撤去しなければ筋が通らない。

そして「国防」とは、戦争を絶対に起こさないという平和外交以外にはない。それが最高の「国防」である。

2012年12月11日火曜日

そうまでして、就職しなくても

しばらくブログを書いていない。書く気が起きない、と言ってしまえばそれまでだけど。

この2週間で知り合いがたくさん亡くなった。

甥は自殺した。29歳。カメラや複写機を製造する大会社の正社員だった。

数年前、会社の勤務のことで相談を受けたことがある。

彼と話をしていて、「あぶない」と感じるものがあった。だけど、ほんとにみずから命を絶つとは。

自殺の報を聞いて、「なんで」という思いと、「取り返しがつかない」という、いかんともしがたい後悔がのこった。

彼は就活に成功して、大会社へ入ることができたのだけど、いまとなっては就活成功が落とし穴になってしまったわけだ。

最近、就活に失敗して自殺する学生が多いそうだ。また大会社に就職しても、数年で辞めてしまうケースも多い。

ぼくのような人間からみれば、なんでそうまでして就職するのかわからない。自分の正直なこころを見つめたら、「会社で働きたくない」という人が多いのではないか。

会社で働くことだけが人生ではない、ということを知ってほしい。

そんな嫌なことをしてまで会社で働くより、自分の好きなことをして野垂れ死にしたほうがましではないか。

かくいうぼくも野垂れ死にたくはないのだけど、会社で働かなくても、いくらでも楽しく生きていける方策っていうものはある。

安らかにね、Mくん。合掌。