2012年10月25日木曜日

「東京電力の取締役会が、おもしろいことになっているらしい」


で、なにが「おもしろいこと」なのかというと、東電の経営陣が6月末の株主総会で一新され、11人の取締役の過半数である6人の社外取締役が「旋風を巻き起こしている」からだ。
 
この見出しの一文、けさの朝日新聞「社説余滴」というコラムで書いた高橋万見子の記事冒頭である。
 
「らしい」というのは、おそらく東電社外取締役から聴いたからだろう。
 
で、なにが「旋風」なのかというと、たとえばある日の取締役会で「自動車のような輸出産業でもないのに、なぜ業界団体が必要なんですか」という質問が出たという。
 
業界団体というのは、そう泣く子も黙る悪魔の集団、原子力ムラの中枢である電事連(電気事業連合会)だ。あ、「悪魔の集団」というのは、筆者である秋場がそんなふうにイメージしているっていうこと。高橋さんはこんなたとえはつかってません。
 
この質問に、取締役会に出席した東電生え抜きの取締役や職員は、どう答えたのか訊きたいものだ。記事には答えは書いてない。「いや、それはムラの利権をまもるために強力な政治力が必要なんで……」なんて返答したのか。まさかね。その辺、突っ込んだ取材たのみます。
 
東電には政府から巨額の資本が投入され、また一般家庭向けの電気料金を8.47%も値上げしたが、いずれも一般市民から、税金や料金に上乗せしてむしり取ったカネである。政府から資本投入がなければ、とっくに東電は潰れている。
 
このように、事故を起こして放射性物質を撒き散らし、その事故の尻拭いの費用を市民に出させている東電だ。
 
なので、ここは取締役会をオープンにしてはいかがなものか。そう衆人環視のもと開催するのだ。
 
東電は実質、国有化されているわけなので、国民はその運営形態を知る権利があろうというもの。だから、とうぜん取締役会は公開すべきだろう。(参考資料、朝日新聞10月25日朝刊)

2012年10月18日木曜日

浪江町で4人が自ら命を絶った。だが東電は自殺に原発事故との因果関係を認めようとしない

きのうの朝日新聞の藤原慎一記者が書いた一文に、「悲しみ」と「怒り」と「共感」をいだいた。その記事の後半はこんな内容だ。

 原発事故から1年7カ月が過ぎたが、故郷を追われた人々の悲痛な声が途切れることはない。全住民が避難している浪江町では、私が知り得ただけでも4人が自ら命を絶った。それだけではない。原発事故のために捜索ができず、亡きがらを1カ月近く、野ざらしにせざるを得なかった人たちがいる。そうした遺族の話を聞き、自分の顔が紅潮していくのが分かった。

 東京電力は原発事故と自殺の間に因果関係を認めず、「医師の診断書をみて判断したい」と主張する。「助けてあげられなかった」と自分を責める遺族との落差は大きい。

 政府や東電といった巨大な組織を相手にする福島の人々。記者の基本に反するかもしれないが、被災者の側に立ち続けるつもりだ。(藤原慎一)
(朝日新聞10月17日 朝刊「「基本」反しても被害者側に」

ぼくがいだいた「悲しみ」とは、浪江町ですくなくとも4人もの自殺者が出ていることだ。この自殺した人は原発事故がなければ、自らの命を絶つことはなかっただろう。そして、1カ月近くも野ざらしにされた亡きがら。

それにしても、いったいフクイチ事故で何人が自殺に追いやられたのだろうか。

「怒り」とは、自殺と原発事故の因果関係を認めない東電だ。東電はすこしでも賠償金を減らしたいために認めないのだ。

自分たちが起こした事故のために人が死のうとも、ひたすら自分たちの金銭的利益だけをまもろうとする。

福島原発事故で死人は出ていないと公衆の場で言い放った電力会社の社員がいたが、彼はこの事実を前にどう思うのだろうか。

そして「共感」とは「被災者の側に立ち続ける」という藤原記者の姿勢だ。

この藤原の姿勢をすべての報道関係者が共有するなら、原発はこの国では動かないし、そうなればこの国に放射性物質という名の「死の灰」がばら撒かれることもないだろうし、この国はもうすこしはまともになるだろう。

2012年10月6日土曜日

出版記念イベントへのメッセージ「原発をまた爆発させないために」

原発問題に無関心であればあるほど、この問題はどんどん大きくふくらみます。そして、ふくらんでふくらんで、ついに爆発したのが昨年3月に起きた、一連の福島第一原発の爆発です。

原発が爆発して、天文学的な量の放射性物質がぼくたちの生活環境、それに海や山に降り注ぎました。みんなびっくりして、この原発問題に関心を寄せ始め、抗議デモは数万、数十万もの人が集まるようになりました。このまま原発問題に無関心でいたら、問題は大きくふくらんで、また爆発するのではとみんな怖れたからです。

そんな、みんなの「原発はいらない」「再稼働反対」の声に、野田政権は2030年代には原発をゼロにすると決めかけたものの、原発利権の甘い汁をまだ吸いたい日本の大企業やアメリカ政府の反対などで、それをうやむやにしました。

そのあげく、大間原発の建設開始決定や、来春には伊方原発3号機を手始めとした本格的な再稼働をたくらんでいます。また東北・関東各県での放射性廃棄物最終処分場、北九州市をはじめとするガレキ処分など、原発と放射能と被曝をめぐる問題は日増しに、身近な問題として無関心の人にも迫ってきます。

そう、いったんしぼみ始めたかに見えた、この原発問題は、またどんどんふくらみ始めました。このままいくと、ふくらんでふくらんで、またまたドッカーンと爆発するでしょう。

爆発をふせぐには、関心をもつこと、抗議の声をあげること、これに尽きます。具体的には、毎週、金曜日におこなわれている首相官邸前を始め、全国各地での抗議行動をずっとつづけること。

そして、来る11月11日に東京中枢で開催される100万人の反原発デモを成功させることです。ぼくたちのこれからの合言葉は「11.11反原発100万人大占拠に全国から集まろう!」です。

愛があるなら、関心をもつこと。関心をもてば、愛がふくらむ。愛がふくらめば、原発問題はしぼむ。ぼくはこころからそう思います。この場にいらっしゃるみなさんに、愛をこめて。秋場龍一。

あす7日開催。関心ある人も、ない人もどうぞ。『原発問題に「無関心」なあなたへ。』出版記念イベント



*このイベント主催者の告知を転載します。なお、ぼくはこのイベントに「メッセージ」を寄せています。秋場龍一

 
『原発問題に「無関心」なあなたへ。』
出版記念イベント


一番の問題は原発の問題に対して、「無関心」なことだと思う。

アーティスト、政治家、ミュージシャン、活動家、

大学教授、俳優、芸能人、経営者など、

32人の想いのこもったメッセージを1冊にまとめた

原発問題に大きな一石を投じる企画本

『原発問題に「無関心」なあなたへ。』

の出版記念イベントが

世田谷区下北沢の北沢タウンホールにて行われます。

当日は書籍への寄稿者の中から8名が出演。

原発問題をテーマに活発な意見が繰り広げられます。

 
≪出演者≫

田中優(環境活動家)

藤波心(アイドル)

藤田和芳(大地を守る会)

布施純郎(小杉中央クリニック)

保坂展人(世田谷区長)

たかはしよしこ(みえないばくだん著者)

三宅雪子(衆議院議員)

すぐろ奈緒(緑の党)

※原稿掲載順

 
子どもたちの未来のために読みたい原発絵本

「みえないばくだん」ピアノ演奏&朗読LIVE決定!!

さく:たかはしよしこ え:かとうはやと

ピアノ:谷川賢作  ろうどく:仲代奈緒

 

日時:107日(日)18:30開場、19:00開演

会場:北沢タウンホール (小田急線下北沢駅徒歩5分)

入場料:2,000円(本書1冊付き)、*本書ご持参の方は1,000円。(当日券のみ)

【問合せ】キラジェンヌ株式会社  TEL 03-5371-0041



 

2012年10月3日水曜日

「(柿の)一つの芽から実が三つ」って、明るい街ネタかよ。放射線障害を心配するのが先だろ。

けさ朝刊をめくっていたら、ぎょっとする文字が目に留まった。その紙面は「ちば東葛」という朝日新聞千葉地域版である。それはこういう見出しだ。
 
「一つの芽から実が三つ」「野田で柿の珍品」
 
千葉県野田市に住む人の自宅の敷地に、ことしも樹齢約80年の甘柿の実が300個ほどなった。このなかに、一つの芽に三つの実がついたものがあったのだ。その柿の写真も載っていて、たしかに実が三つある。
 
近所の90歳の男性は「こんな柿は初めて」と驚き、市の農政課は「聞いたことも見たこともない」という。
 
この記事、「わあ、珍しい柿がなったよ」みたいな、明るい調子の街ネタだけど、ぼくは暗い話題として読んでしまった。だって、この「三つの実」って、遺伝子障害によってできたものでしょ。
 
とすると、放射性障害をうたがい、人の遺伝子でもこういうことが起こっているのではと連想してしまうからだ。さらに300個に1個なら、人も300人に1人、こうなるのでは、とも。もちろん科学的でないのは承知だけど。
 
 
そういうと、福島をはじめ関東の柿から高線量のセシウムが検出されている。この三つの実の柿が、放射線障害が原因でないことを祈りたいのだが、やはりあんな原発の巨大事故があったので、どうしても放射線による遺伝子障害をうたがってしまう。
 
こんなぼくのように、福島第一原発の事故というのは、人びとのメンタルにも大きな負担や障害を与えていることはまちがいないだろう。
 
しかし、この記事、ちょっと能天気だな。ぼくも新聞社で街ネタを拾っていたことがあるけど、ぼくならこんな柿を見つけたら、放射能汚染されていないか検査する。それが新聞報道、ジャーナリズムというものだろ。カッコつけてるって? たまにはいいだろ。
 
なに、わるい風評をたてるな、だと? 風評被害を心配するより、まずは人の健康と命を心配するのが筋ってもんだろ。(参考資料・朝日新聞10月3日朝刊)