2012年9月28日金曜日

無関心な人も関心をもつ『原発問題に「無関心」なあなたへ。』という本が出ました。

実は「無関心」って罪なんです。

ぼくはこころから、そう思います。こんなことを言うと、社会のできごとに無関心の人は、「えッ?」ってびっくりするでしょうね。

マザーテレサの「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」っていう、有名なことばがあります。とすると、無関心の人って、愛のない人っていうことになりますか。

もし、あなたが、「わたしって、無関心かも」って、ちょっと自分のことが気になったら、この本を開いてみてください。

すると、空恐ろしい原子力発電所が日本中に50基以上できたのも、史上最悪の福島原発事故が起きたのも、人体に危険な超大量の放射性物質が生活環境にばらまかれたのも、多くの人の無関心に付け込んだことが原因になっていることがわかります。

そう、あなたの、わたしの無関心が、原発事故で16万もの人が原発難民となって住まいをうしない、福島ほか数千万人が住む東北・関東・中部一帯に「死の灰」を降らせたのです。

そしてなにより、無関心なあなたこそ、最大の被害を受けるのです。だって、無関心を決め込むってことは、その事実を知らないってことを意味するのですから。

たとえば、食べものと内部被曝のこととか。無関心の人は、放射能の危険性を知らないから、平気で内部被曝をまねく食べものを摂ってしまいます。

ほら、無関心のあなたはまったく無頓着にきのこを食べ、牛乳を飲んでいるでしょ。そうそう、つい最近、関東の回転寿司のいわしからセシウムが出たっていうことも知らないでしょ。

また、無関心の人は、こんな事実も知らないはずです。いま26年前に起きたチェルノブイリ周辺の住民たちに大変な健康障害が起きています。

ウクライナの子供78%(!)が慢性疾患にかかっており、ウクライナの485人の生徒がいる学校では、内分泌疾患や骨格異常の生徒が多くて、正規の体育授業を受けるのはたった14人しかいないのです。

この事実というかデータに驚愕しませんか。成人だって油断できないのです。ここ数年前から大人の甲状腺障害が激増しているからです。

内部被曝の多くは被曝してから数年、十数年、数十年たって発症する晩発性という特性がある、ということも無関心のあなたは知らないでしょう。

しかも、これはけっして他人事ではありません。福島の原発事故を体験した日本にいる住人は、チェルノブイリ周辺のウクライナやベラルーシの人に起きていることを体験する可能性があるからです。

ね、無関心って、無関心なあなた自身が真っ先にヤバいでしょ。

この本を開いた見返しにこんなことばが載っていました。

一番の問題は原発の問題に対して、「無関心」なことだと思う。

――ぼくも、こころの底からそう思います。

 

原発問題に「無関心」なあなたへ。

              
 
―GENPATSU TALK MESSAGE―
発起人・吉良さおり(キラジェンヌ代表)他著
発行・キラジェンヌ
定価1000円+税

小出裕章、藤波心、吉原毅、飯田哲也、佐藤潤一、藤田芳和、香山リカ、おしどりマコ、杉田かおる、保坂展人、武田邦彦、福島瑞穂など32人から、「無関心」なあなたへの愛を込めたメッセージ集。筆者(秋場龍一)も「殺人放射線はファウルボールのように」というタイトルで寄稿しました。

2012年9月27日木曜日

来春、伊方3号機が手始めか。田中俊一が規制委員長に就任早々、再稼働へ着手


「早ければ来春にも原子力発電所の再稼働が決まる可能性が出てきた」「政府のストレステスト(耐性調査)ですでに「妥当」と評価された四国電力伊方3号機などが有力候補だ」と日経(2012/9/26 23:48)が報じた。
 
田中俊一は誰もが認める原子力ムラの大幹部である。その田中が原子力規制委員長に就任するや、さっそく何の臆面もなく大々的な原発再稼働へ動きだした。
 
まず、来春に四国電力伊方3号機のほか、北海道電力泊1、2号機、九州電力川内1、2号機が再稼働の有力な候補に挙げられた。
 
「原子力規制委員会の田中俊一委員長は26日の記者会見で、新しい安全基準の骨格を今年度末までにまとめる考えを示したうえで、その時点で基準を満たす原発の「再稼働を考えたい」と述べた」(日経・同日)
 
原子力ムラも、おらが原発利権のためなら、もうなりふりかまわず1日でも早くどんどん再稼働させたいのだ。
 
「ストレステスト」で「妥当」というが、この調査で妥当と判断したのは、旧経済産業省原子力安全・保安院である。

保安院は原発を推進し、未曾有の原発事故を起こした国の機関だ。そんな胡散臭い、原子力ムラの巣窟が耐性調査したもので「妥当」としたのである。
 
これが裁判なら、加害者被告が裁判長を兼ねるということではないか。真っ当な民主社会では認められない、まさにアンフェアの典型だ。
 
原発を再稼働することは、再び原発を爆発待機状態にすることであり、第二のフクイチ事故を準備することである。
 
そして、 原子力規制委員会の事務的機能をはたす原子力規制庁が20日から本格的な業務を開始したが、この規制庁のメンバーも委員会と同様、驚くほどひどい。
 
中国新聞は9月20日の紙面で「原子力推進官僚ずらり 規制庁が始動」という見出しで、こんな記事を載せている。

【引用開始】

  経産省審議官から、原発事故などに対応する緊急事態対策監になった安井正也氏(54)。資源エネルギー庁原子力政策課長だった2004年、原発の使用済み燃料を地中廃棄する費用を試算したのに「試算は存在しない」との国会答弁を作成したとして、厳重注意処分を受けた人物だ。

 審議官3人のうち、文部科学省出身の名雪哲夫氏(53)は核燃料取扱主任者の資格を持ち、旧科学技術庁の原子力局に勤務した経験がある。桜田道夫氏(53)は東大工学部原子力工学科卒で、エネ庁勤務が長い。住民訴訟に対し、国の立場で原発の安全性を主張した原子力発電訟務室長だったこともある。
  残る1人の山本哲也氏(52)は経産省原子力安全・保安院から。東京電力福島第1原発事故には首席統括安全審査官として対応した。文科省とともに米国が提供した原発周辺の放射線分布地図を放置した問題で今年6月、「情報が共有されず、住民の避難に活用されなかったのは誠に遺憾だ」と記者会見で謝罪した。

 規制庁ナンバー2の次長には、内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室長として規制委や規制庁の設立に関わった森本英香氏(55)が就いた。地球温暖化対策で原子力を重視してきた環境省が出身母体だ。
  このほか、初代長官には前警視総監の池田克彦氏(59)が就任。原子力地域安全総括官の黒木慶英氏(54)も警察庁出身だ。ともに警備部門の経験が長く危機管理への期待から起用されたが、市民団体関係者からは「デモの規制で本領を発揮するのでは」との皮肉も。

 黒木氏は改革準備室副室長として3日、滋賀県の原子力防災専門委員会に招かれた際、規制機関の在り方について「原子力に反対する人も入るのは、日本の場合、考えにくいのでは。一定の結論を導き出す議論ができるのか」と発言。委員から注意を受け、その場で陳謝したばかりだ。
  規制委や規制庁の設立経緯に詳しい海渡雄一弁護士は「電力会社のとりこになった規制行政から脱却できる人事とは到底思えない。これで『原発は安全だ』『再稼働を』と言われても立地地域の住民は安心できないだろう」と話している。

【引用終了】

この面子は、原発を促進し、再稼働抗議デモを規制するための寄せ集めであることが明白だ。
 
これで、原子力規制庁を名乗るのは詐称ではないか。正しくは、原子力促進脱原発デモ規制庁だろう。

2012年9月21日金曜日

原発推進の専門家、原子力学会員「原発は安心」たった23%

日本原子力学会が「原発の利用について安心か不安か」について、学会員にアンケート調査したところ、驚くべき(というか、むしろ当然か……)答えが返ってきた。

「安心」と答えたのは、わずか23%にすぎなかったのだ。

原子力学会といえば、約7000人を数える原発推進の専門家集団である。その御用機関の80%が原発は危ないと考えている。

学会の野村茂雄会長は「事故を防げなかった自責の念で専門家は沈黙してきた。徹底した事故調査や福島での活動で信頼を取り戻したい」という。

あの野村さん、「自責の念で沈黙」じゃないでしょ。ほんとうに心から自分のあやまちを見つめて、自己の責任を問うなら沈黙なんてできないはずだよ。

あなたたちは、フクイチ事故以前から原発はとてつもなく危険であることを知りながら、嘘八百をならべて無理押しで推進に突っ走ってきたことは、もうみんなにバレバレだ。

「安全神話」のネタ元はあなたたちだ。

しかも、フクイチが危機に瀕し、さらに爆発にいたったとき、「爆発は起きない」「爆発弁を開いた」「爆発的事象」「メルトダウンではない」「事故深刻度はレベル7のチェルノブイリ級ではない」……などと発したよね。

原発が4基も爆発し、天文学的な量の放射性物質が環境にばらまかれて、一刻も早い住民の避難が重要だった。ほんらい、心ある専門家、学究者なら、政府の「ただちに危険ではない」という偽りの発言を糺して、住民の安全をはかることを真っ先におこなったはずだ。

なのに、あなたたちは人びとの健康や生命の安全より、おのれの保身に走った。

そんなあなたたちに、「なんだ、こいつらは人の命より、てめえの金かい、身分かい」と、それまで「安全神話」にだまされていた人も、あなたたちの心根を嫌というほど知ったのだ。

だからあなたたちは、一般市民から、薄汚い「御用学者」と罵倒される。それにしても、「御用学者」と呼ばれることに、もうすこしは恥じてもらいたいものだ。

あなたたちが好むレベル評価すると、日本原子力学会員は「人間最悪度レベル7」だ。まだ、人間と評価されることに感謝してもらいたい。

野村会長、ほんとうに信頼を回復したいのなら、原発のさまざまな危険性を正直に認めて、廃炉や核燃料・廃棄物の撤収・管理など、安全な「脱原発技術」を提供することである。

それが唯一、あなたたちの信頼が回復できることであり、真っ当な人間に復帰できることでもある。

ぼくも、いつまでも「御用学者」だと罵倒したくない。あなたたちが早急に、真っ当な人間に、回復・復帰できることをこころから願うものである。(参考資料「朝日新聞9月21日朝刊」)

 

2012年9月19日水曜日

目先の金のため、軍事的野心のため、99%の人が犠牲となって。

きわめてあいまいだけど野田政権が、「2030年代に原発ゼロ」「もんじゅ廃炉・核燃料サイクル廃止」を打ち出そうとすると、経済3団体の頭目、福井県知事、青森県議会、東京都知事、米・英・仏政府、IAEAなどが、ぞくぞくと反対や懸念、抗議を表明した。

この「表明」とは、原発ムラの国民にたいする恫喝である。

電気料金は2倍になるぞ、CO2は増えるぞ、雇用が守れないぞ、使用済み核燃料を搬出するぞ、とそれはそれはなりふり構わない脅しである。

経団連会長の米倉弘昌にいたっては、「原発ゼロは国益を損ねる」という。よく言うよね。原発ゼロは原子力ムラ及び、ムラの有力メンバーである住友化学(米倉はこの会社の会長)の利益を損ねる、が本音だろ。

その他の「表明」も、ムラの一員である自分たちの利益をもらい損ねることへの悲鳴にすぎない。

まあ、なかには、ムラへのアイデンティティよりも、核兵器能力を維持したいがために原発推進の旗をふる、軍事オタク願望のほうが強い知事や某政党党首候補もいるけどね。

これだけぞくぞくと「表明」が報道されれば、それはマジョリティの声だと錯覚するかもしれない。だが、だまされてはいけない。彼らは多数派ではなく、全体の1%に満たない圧倒的な少数派だ。そう、あくまで「ムラの代表」にすぎない。

たとえば、経団連、日商、同友会の経済3団体の声明を、マスコミは「経済界から原発ゼロに懸念の声」などと報道する。さも経団連会長の発言が、日本の経済人を代表しているかのようだ。だけど経済3団体は、経済界すべてではなく、経済界一部の代表にすぎない。

事実、経済界全体では脱原発派のほうがはるかに多い。ちなみに脱原発や減原発の経営者が400人も集まった「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」が3月に発足した(7月31日の「ねごと」を読んでね)。

経済界というと大企業をイメージするかもしれないが、街中の八百屋、魚屋、クリーニング店、喫茶店などを営む個人商店のあるじも、零細企業の経営者も、確固とした経済界の一員である。

ムラが発する、ことばのイメージや修飾に惑わされてはいけない。

彼らは、小さな子供、赤ん坊、これから誕生する未来の人びとの健康や生命のことなど、これっぽっちも気にしていない。

原発が爆発して大量の放射性物質が環境にまき散らされても、福島第一原発の事故処理に数10年以上要しても、10万年以上管理が必要な核廃棄物が滞積してその処分場が見つからなくても、そして福島の子供たち(3万8千人以上)の36%に甲状腺異常(増殖、のうほう、しこり等)が見つかっても、それでもその原因となった原発を稼働させようとする。

ただ1%の人のために、ただ目先の金のために、ただ軍事的野心のために、99%の人たちが犠牲となって原発は推進される……。