2011年12月19日月曜日

ベラルーシの現状に日本の25年後の姿をみた。そして「収束宣言」の野田に解熱剤を投与してやってくれ。

【ただちに危険だ! 原発通信】№29


きのうの日曜日、福島第一原発事故と放射能汚染被害についてのTVドキュメンタリーを二作観た。一作はフジテレビ、もう一作はNHKだ。そう、一作はフジだ。あのフジサンケイグループのフジテレビである。

きのうの午後4時。日本テレビではクラブワールドカップの3位決定戦が熱狂のなか放送されていたが、その裏番組でフジテレビが「特命報道記者X」というドキュメンタリーを送っていた。その番組タイトルは「原発20キロ圏内の真実」。

フジの取材カメラは法的に立ち入りが制限された警戒区域である大熊町に入り、年間400ミリシーベルトを超える線量計の数値、置き去りにされた牛や豚の群れ、食糧が与えられず餓死白骨化した家畜、殺処分される生き残った豚、地震で壊れたままになっている家や道路を映し出す。まるで3.11から時が止まったままのようなこの町は、比喩ではなくまさにゴーストタウンそのものだ。

さらにカメラはチェルノブイリとその近郊の町にも入り、1986年の事故から25年たったその被害の現状を探る。何度除染しても危険な線量のまま下がらない地域、数百の廃村、廃町になった村や町の墓標、そしてベラルーシの病院では正常に生まれる子どもが2パーセントだという苦悩する医師の顔を映し出す。

チェルノブイリとフクシマ。日本の放射能汚染地域の25年後の姿を嫌でもチェルノブイリにみてしまう。

ベラルーシの医師は、入院している患者がチェルノブイリ事故の放射線の影響が原因であることについて口を閉ざし、本当の原因を知りたいのならバンダジェフスキー博士に訊いてくれと言う。

独裁国家ベラルーシは原発建設をたくらんでおり、そのためチェルノブイリ事故の健康被害の実態を明らかにすることを妨害・弾圧しているのだ。

バンダジェフスキー博士について、このブログ(【ただちに危険だ! 原発通信】№16 http://akiba1.blogspot.com/2011/10/16.html)でも紹介したが、博士がチェルノブイリ事故の放射性障害について究明したところ、ベラルーシ国家からでっちあげで逮捕・投獄され、その後海外の救援団体による活動で国外追放処分となり、現在ウクライナ・キエフ州のイヴァンキブ中央病院に勤務している。

原発事故の影響を隠蔽・過小評価しようとするベラルーシ国家の姿は、まやかしの「事故収束宣言」を出した野田首相の日本国家の姿と重なる。日本の原発事故の実態や放射能汚染の影響にたいする姿勢は、ベラルーシと二重写しになる。

それにしても、あのフジテレビがよくぞこんなドキュメンタリーを作ったものだ。もう、TVのバラエティの時代は終わっている。収束宣言ならぬ、バラエティ終息宣言をしたほういいだろう。これからTVが生き残る道は真実を追求するドキュメンタリーであることに、テレビ会社は早く気がついてほしい。

そして、もう一作はNHKスペシャル「シリーズ原発危機 メルトダウン ~福島第一原発 あのとき何が~」。3.11の地震と津波から爆発までの原子炉内部と制御室現場の実態を再現したものだ。

いかに東電や政府が非常時への準備を怠ってきたのか。メルトダウン、メルトスルーが起こり、破局的危機が差し迫っているときに、適切な事故対応ができない現場運転員。そしてそんな最中、まるで誤ったメッセージを発信する枝野官房長官。刻々と破局に向かうなか、そんな密室の制御室の実態が時系列で明らかとなる。人類は核エネルギーの安全なコントロールなど不可能である、ということを番組は瞭然に映し出す。

原発というものは、通常に運転されているときにも、常に危険な状態が休みなくつづいている。原子炉を冷やす水が止まると、たちどころにその危険性が発露する。発熱する病気におかされ、解熱剤を投与しつづけないとすぐに高熱で死んでしまう状態。それが原発の常態なのだ。そして、そんな原発が、いまこのときも運転されている。

もしかしたら「収束宣言」をのたまう野田首相の頭、高熱でやられているのではないか。だれか、原発再稼働に猪突猛進する野田に解熱剤をぶちこんでやってくれ。

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