2011年10月14日金曜日

【ただちに危険だ! 原発通信】№14

ブラックエネルギーからグリーンエネルギーへ。
ブラックエコノミーからクリーンエコノミーへ。

おむつと原発。ニッポンとブータン。1%と99%。
ぼくたちはどういう国に住んでいるんだろう。

ぼくたちはいったいどういう国に住んでいるんだろうか? けさの朝日新聞「電力支配・中」(14日朝刊)を読んでつくづくそう思った。この連載記事の今回のテーマは、原発の立地自治体に国から金がばらまかれる「電源三法交付金」についてだ。その記事の書き出しを引用する。

――福井県敦賀市の子育て総合支援センター。2歳になる長男のおむつを替えていた主婦(33)は、教えてくれた。「このおむつ、市がくれたんですよ」

敦賀市は子どもが生まれるとおむつなどの育児用品を支給し、お年寄りの足となるバス事業費など、「ゆりかごから墓場まで」を手厚く援助するらしい。これらの資金の出どころが、原発であり、それは「電源三法交付金」という法律によっていることを明らかにする。

ぼくはこの記事を読んで、おむつをもらってうれしそうな主婦の顔が浮かぶ。そして「おむつと原発か……」と、溜息を吐く。もしかしたら、この市がくれたおむつのために、おさない子どもを抱えて敦賀市から一刻も早く逃げ出さないといけないはめになるかもしれないのに。

敦賀市には日本原電敦賀原発が2基、解体中の「ふげん」、そしてあの「もんじゅ」がある。隣の美浜町には美浜原発が3基、さらに若狭湾沿いに大飯原発4基と高浜原発4基。原発が乱立する「原発銀座」である。ただし、この「銀座」、お金も落としてくれるが、「死の灰」も落としてくれる。

ぼくは「おむつ」が引っ掛かる。おむつをもらうのと引き換えに、原発を立地、稼働させることだ。おむつを市がくれた、と主婦は言うけれど、そのおむつのお金は、電気料金に上乗せされているので、元は電気料金を払った消費者が支払ったことになる。そう、一般家庭の電気料金には毎月約110円が加算されているのだから。この何千万人が支払った110円によって、そのおむつはその主婦にただで支給されたのである。

ここで、冒頭の「ぼくたちはいったいどういう国に住んでいるんだろうか?」に戻る。日本経済はデフレに見舞われ、長くつづく不況のなかにある。だけど、それでもGDP(国内総生産)はアメリカ、中国に次いで世界第3位(2010年)だ。

いっぽう、国民の90%が国勢調査で「幸福」と答えたブータンのGDPは161位。その差はざっと4千倍。なのに、ブータンは医療費と教育費が無料なのだ。そしておまけにほとんどの国民が幸福だという。

それに引き換え、日本では事故が起きて、いつ死の灰(放射性物質)が降り注ぐかもしれない原発の近くに住むかわりに、「おむつ」をもらうのだ。なぜ、日本は世界3位なのに、こうもブータンと状況がちがうのだろう。それは原発の利権構造、そしてウォール街デモの「1%と99%」と同じ構造によってもたらされていることは明白なんだけれど……。

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